働きやすい環境づくりに!キャリアアップ助成金を活用しませんか?【令和7年版】

パートや契約社員、派遣スタッフなど、いわゆる「非正規雇用」の方たちが、もっと安定して働けるように、国(厚生労働省)がサポートしてくれる制度があります。それが「キャリアアップ助成金」。

キャリアアップ助成金は、厚生労働省が実施している制度で、非正規雇用労働者のキャリアアップを促進することを目的としています。企業がパートタイム労働者や契約社員、派遣社員などの非正規雇用労働者に対して、正社員化や処遇改善に向けた取り組みを行った場合に、一定の助成金が支給されます

この助成金には、正社員化コースや賃金規定等改定コース、賞与・退職金制度導入コースなど、企業の取り組みに応じた複数のコースが用意されています。従業員の働きやすい職場環境づくりや人材定着・育成を目指す企業にとって、大きな支援となる制度です。

「うちの会社も対象になるかも?」と思ったら、ぜひチェックしてみてください!

キャリアアップ助成金 厚生労働省

募集要項

対象となる事業主(全コース共通)

雇用保険適用事業所の事業主
雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主
雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長に提出した事業主
実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主
キャリアアップ計画期間内に計画に記載した正社員化・処遇改善に取り組んだ事業主

内容

●正社員化コース・1人あたり

半年以上勤務している有期契約労働者や無期雇用労働者を、正社員に転換し半年継続雇用する場合に助成金が支給されます。
正社員転換した従業員が、重点支援対象者(※)に該当する場合、正社員転換後1年継続雇用するとさらに助成金が支給されます。※重点支援対象者でない従業員の場合、2回目のの支給は無し

対象労働者は、雇用保険に6か月以上加入している必要があります。

【有期契約労働者】中小企業:80万円(40万円×2回) 大企業:60万円(30万円×2回)
【無期契約労働者】中小企業:40万円(20万円×2回) 大企業:30万円(15万円×2回)
※主に雇入れから3年以上の有期雇用労働者などを対象とします。詳細はHPをご確認ください。

※重点支援対象者とは、以下のいずれかに該当する者を指します。
・雇入れから3年以上の有期雇用労働者​
・雇入れから3年未満で、過去5年間に正規雇用労働者であった期間が1年以下、かつ過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない有期雇用労働者​
・派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者 ​

●賃金規定等改定コース・1人あたり

有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用させた
場合に賃金の引き上げ率に応じて助成します。

中小企業:4万円~7万円
大企業:2.6万円~4.6万円

●賃金規定等共通化コース・1事業所あたり

就業規則または労働協約の定めるところにより、雇用するすべての有期雇用労働者等に、正
規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成します。

中小企業:60万円
大企業:45万円

●賞与・退職金制度導入コース・1事業所あたり

就業規則または労働協約の定めるところにより、すべての有期雇用労働者等に関して、
賞与・退職金制度を新たに設け、支給または積立てを実施した場合に助成します。

中小企業:最大56万8千円
大企業:最大42万6千円

●社会保険適用時処遇改善コース・1人あたり

雇用する短時間労働者に、以下のいずれかの取り組みを講じた場合に助成します。
・新たに社会保険の被保険者要件を満たし、その被保険者となった際に、賃金総額を増加
させる取り組み(手当支給・賃上げ・労働時間延長)を行った場合
・週の所定労働時間を4時間以上延長する等を実施し、これにより当該労働者が社会保険
の被保険者要件を満たし、その被保険者となった場合

中小企業:40万円
大企業:30万円

★加算について

各コースに、加算の要件がありますので、併せてチェックしましょう。

例)正社員化コースの場合

措置内容加 算 額
正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合(1事業所当たり1回のみ)2 0 万円
( 大企業1 5 万円)
多様な正社員制度(※)を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合(1事業所当たり1回のみ)
※ 勤務地限定・職務限定・短時間正社員いずれか1つ以上の制度
4 0 万円
( 大企業3 0 万円)

支給申請期間

令和7年4月1日(火)~ ※令和7年度版が開始しています。

●正社員化コース

(第1期)正社員化した対象労働者に対し、正規雇用労働者としての賃金を6か月分支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請
(第2期)正社員化した対象労働者に対し、正規雇用労働者としての賃金を12か月分支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請

●賃金規定等改定コース

対象労働者の賃金規定等を改定した(賃金規定等の増額を適用した)後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請

●賃金規定等共通化コース

対象労働者の賃金規定等共通化後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請

●賞与・退職金制度導入コース

対象労働者に、初回の賞与の支給または退職金の積立て後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請

●社会保険適用時処遇改善コース

措置を講じたメニューに応じて、支給対象期分※の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請
※詳細は要項をご確認ください

2024年度版との違いについて

1. 正社員化コースの助成額の変更

  • 令和6年度まで:​有期雇用労働者を正社員に転換した場合、中小企業では80万円(40万円×2期)、大企業では60万円(30万円×2期)の助成が受けられました。
  • 令和7年度から:​重点支援対象者の区分を設け、以下のように変更されました。​
    重点支援対象者は結構ハードル高めですが、人材開発助成金の特定の訓練修了者は重点支援対象者になることから、セットで申請するとよさそうです。有期契約期間中に研修を行いますので、従業員の能力向上にもつながります!
    • 重点支援対象者:​従来どおり、中小企業で80万円(40万円×2期)、大企業で60万円(30万円×2期)
    • 重点支援対象者以外:​中小企業で40万円(40万円×1期)、大企業で30万円(30万円×1期)と、助成額が半減されました。

重点支援対象者は結構ハードル高めですが、人材開発助成金の特定の訓練修了者は重点支援対象者になることから、セットで申請するとよさそうです。有期契約期間中に研修を行いますので、従業員の能力向上にもつながります!

2. キャリアアップ計画書の手続き簡素化

  • 令和6年度まで:​キャリアアップ計画書は、都道府県労働局長の認定が必要でした。 ​
  • 令和7年度から:​認定が不要となり、事前に労働局へ提出するだけで済むようになりました。 ​

3. 賃金規定等改定コースの助成額の拡充

  • 令和6年度まで:​賃金引き上げ率に応じて、3%以上5%未満で5万円、5%以上で6.5万円の助成が行われていました(中小企業の場合)。
  • 令和7年度から:​支給区分が細分化され、3%以上4%未満で4万円、4%以上5%未満で5万円、5%以上6%未満で6.5万円、6%以上で7万円の助成が行われるようになりました(中小企業の場合)。

申請方法

申請の流れ
  • 支給申請に必要な様式を取得
    厚生労働省HPよりダウンロード
  • キャリアアップ計画
    ハローワークに提出
  • 実施
    各コースに応じた取り組みを実施
  • 賃金の支払
    正社員化等取り組み後、6か月分の賃金の支払
  • 支給申請
    審査開始
  • 審査終了
    助成金の入金

★計画の提出・支給申請は、窓口への持参、郵送、電子申請によって行うことができます。

詳細は、厚生労働省HPをご確認ください

従業員の採用は不確実性やリスクがありますが、助成金を活用し、事業の成長につなげていきましょう!

正社員前にやっておかないといけない手続などもあります。就業規則に記載すべき要件や、賃金の引き上げなど、様々な要件がありますので、詳細は募集要項をご確認ください。

キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金の制度や支給要件等について紹介しています。