セーフティ共済ってなに?節税しながら“もしも”に備える経営者の味方!

「売上の大半を占める取引先、もし倒産でもされたら…」
「資金繰りが突然ピンチになったらどうしよう…」
そんな不安、経営者なら一度は感じたことがあるのではないでしょうか?

その“もしも”に備えながら、しっかり節税もできる制度があるんです。
それが、中小企業倒産防止共済制度(通称:セーフティ共済)

国が運営している制度で、年間を通じて多くの中小企業が活用しています。
この記事では、そんなセーフティ共済の魅力を分かりやすくご紹介します!

中退共についてはこちらの記事で。
小規模企業共済についてはこちらの記事で。

セーフティ共済とは?

取引先が倒産したら…? そんな時の備えに!

正式名称は「中小企業倒産防止共済制度」。
万が一、主要な取引先が倒産したときに、無担保・無保証で貸付を受けられる制度です。

さらにうれしいのが、掛金(月5,000円〜20万円まで)を最大800万円まで積み立て可能で、その掛金は全額損金処理OK!
つまり、「備えながら、がっつり節税できる」制度なんです。

セーフティ共済の主なメリット

✅ 1. 節税になる!

掛金は全額損金算入可能
たとえば、年間240万円を積み立てていれば、その分は全額経費扱いにできるので、法人税などの節税につながります。

✅ 2. 資金繰りの“保険”になる!

取引先が倒産して、売掛金が回収できない…。
そんなとき、無担保・無保証で掛金総額の最大10倍(上限8,000万円)まで貸付を受けられます。
「連鎖倒産を防ぐため」の制度なので、スピーディに資金を確保できるのが強みです。

✅ 3. 積立金は任意解約も可能

積み立てた掛金は、任意解約すれば原則全額返金(※一定期間加入後)。
つまり、「いざというときの資金+退職金や設備投資の原資」としても活用できます。

どんな会社におすすめ?

✔ 売掛金の回収リスクが気になる業種(建設業、製造業、BtoBのサービス業など)
✔ 資金繰りに余裕を持たせたい
✔ 利益が出ていて、節税手段を探している
✔ 将来的な投資や退職金原資として、資金を積み立てたい

加入条件と掛金の仕組み

  • 対象: 中小企業者で、継続して1年以上事業を行っていること
  • 掛金: 月5,000円〜20万円(5,000円単位)で選択可能
  • 最大積立額: 800万円
  • 掛金は40か月以上納付すれば、解約時に100%戻ってきます

注意点も知っておこう

  • 倒産先が1年以上継続して取引していた相手でないと貸付対象にならない
  • 一定の取引関係や被害の証明が必要
  • 解約返戻金は課税対象になる(=タイミングによっては税金が発生)
  • 税制改正により、解約→再加入の際は注意が必要
    中小企業倒産防止共済制度の任意解約をした場合には、その解約から1年間を経過しない間に締結した共済契約に基づく掛金については、損金の額に算入することができない。

節税と資金繰り対策の両面で活用できる一方、制度の仕組みや活用タイミングを誤ると損をする可能性もあるため、導入時はプロと相談するのがおすすめです。

活用のイメージ

  1. 決算2か月前くらいに、利益を確認
    利益が500万くらいあるぞ →このままじゃ法人税等約150万だ!(※30%として計算)
  2. キャッシュに余裕あるから、セーフティ共済を申し込もう!
  3. 窓口となる税理士や金融機関に連絡し、申込書類を入手
  4. 記入し、引き落とし口座の金融機関にハンコを貰う
  5. 税理士や金融機関に提出(概ね加入したい月の1か月前までに)
  6. 掛け金を振込み 今回は20万円×12か月分を前払いしよう
    →利益が260万に圧縮され、法人税も78万円に圧縮!
共済非加入共済加入
税引前利益500万円260万円
法人税等(30%として計算)150万円78万円
税引後利益350万円182万円

会計処理 どのように仕訳を入力するの?

2通りの会計処理方法が考えられます。

①費用として計上

法人税申告書で調整が不要なので、楽な経理です。

〇会計
借方貸方適用
保険料2,400,000円普通預金2,400,000円中小機構 セーフティ共済
〇法人税申告書

別表四 → 処理なし
別表10(7)「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を添付

②資産として計上

決算書の損益に影響しないことから、融資などの際に有利に働く可能性があります。
ただし、申告書の別表四で減算調整する必要がありますので注意が必要です。

〇会計
借方貸方適用
保険積立金2,400,000円普通預金2,400,000円中小機構 セーフティ共済
〇法人税申告書

別表四 → 中小企業退職金共済掛金 などの項目で減算
別表五 → 保険積立金 などの項目で減算
別表10(7)「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を添付

上級編 一時貸付制度を使ってキャシュフローも改善!

セーフティ共済は、連鎖倒産の防止ではありますが、取引先の倒産等の事由が起きなくても、一時貸付制度を利用できます。

一時貸付金は、取引先事業者が倒産していなくても、共済契約者が臨時に事業資金を必要とする場合に、機構解約時の場合に支給される解約手当金の95%を上限として借入れできる制度です。

借入上限金額解約手当金の95%相当額
借入額借入限度額の範囲内で、30万円以上で5万円単位(5万円未満切捨て)
借入金の使途事業資金(運転資金、設備資金)
返済期限最大1年間で一括返済
借換もう1年借りる借換手続きが可能。同額・減額・増額(上限はある)それぞれ可能。
利率金融情勢等により変動します。(令和6年4月1日時点の利率: 年0.9%)
利息支払方法借入時に一括前払い

【もう少し説明】
例えば240万借り入れる際に、95%の228万円を借り入れると、、

  • 税引前キャッシュフロー:ー240万円【掛け金】+228万円【借入】ー2万円【金利】=ー14万円
  • 税金の軽減:(ー240万円【掛け金】ー2万円【金利】)×30%=72.6万円
  • 税引後キャッシュフロー:ー14万円+72.6万円=58.6万円

何もしないよりもキャッシュが58万円増えるという結果になります。
利益が出ている法人なら、使わない手はないですね!

🔍 節税+安心、ダブルで効く共済制度!

セーフティ共済は、“経営の万が一”に備える保険のような存在
しかもその掛金が、しっかりと節税にもなるというから驚きです。

「利益が出たけど、税金でガッツリ持っていかれそう…」
そんなときこそ、セーフティ共済の出番です。

当事務所では、セーフティ共済の加入アドバイスから、節税戦略のトータルサポートまで承っています。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください!