
「旅費規程」とは、社員や役員が出張する際に支給する交通費・宿泊費・日当等のルールを定めた社内規程です。これを作成・運用することで、日当や宿泊費などを“非課税”で支給できるため、節税効果が期待できます。
💡 なぜ節税になるのか?
法人側:適切に運用されれば、経費(損金)として認められます。
個人側:所得税の対象になる収入にならないことから、所得税課税されません。
項目 | 経理処理 | 節税ポイント |
---|---|---|
旅費(実費) | 損金算入(会社経費) | 法人税の対象外 |
日当(規程に基づく) | 損金算入(給与課税なし) | 役員・社員への所得税・住民税が非課税 |
宿泊費(定額支給) | 実費を超えない範囲で損金算入可 | 適切な運用で課税リスクなし |
(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
〔傷病者の恩給等(第3号関係)〕|国税庁
📌 節税のポイント
規定を作成→規定通りに旅費精算書を作成し、会社に提出→支給
が原則の流れです。
そのほか、以下の点を注意しましょう。
1.出張旅費規程の金額の妥当性
出張旅費規程は、基本的に出張の実費を領収書等によらず概算で清算するという趣旨のものになりますので、実態とかけ離れた高額な日当や宿泊費はいけません。給与として課税される可能性があります。
2.特定の役員だけが使える制度ではダメ
”役員及び使用人の全てを通じて適正なバランス”という通達があるように、特定の者に便宜を図る目的とみられないよう、規定を整備しましょう。
また、既定の内容は全社員に通知し、平等に使える制度として運用しましょう。
3. 運用実態が重要
日当等の申請経路や申請書式を整備し、適切な運用をしましょう。
出張命令書や出張報告書、交通費の記録など、客観的な証拠を残すことで、税務調査でも説明しやすくなります。
📝相場
少しデータは古いですが、以下のような統計が発表されています。
出張手当と宿泊費
日当を出張の距離・時間・地域等によらず一律にしている企業の平均支給額
国内出張
役職 | 日当 | 宿泊費(1泊あたり) | |
---|---|---|---|
日帰り出張 | 宿泊出張 | ||
社長 | 4,458円 | 4,598円 | 14,095円 |
専務 | 3,781円 | 3,934円 | 12,568円 |
常務 | 3,716円 | 3,968円 | 12,722円 |
取締役 | 3,613円 | 3,802円 | 11,838円 |
部長 | 2,666円 | 2,900円 | 9,835円 |
課長 | 2,479円 | 2,711円 | 9,345円 |
一般 | 2,094円 | 2,355円 | 8,605円 |
まとめ
注意点 | 内容 |
---|---|
支給基準を明確にする | 役職別・地域別に金額を明確に規定 |
実際の運用とズレがないように | 出張の実績や精算ルールが規程と一致しているかを確認 |
頻繁すぎる出張は避ける | 実態のない出張とみなされると、給与とされ課税されるリスク |