2025年10月、最低賃金改定!従業員の賃金のチェックをお願いします

2025年10月から施行予定の(地域別)最低賃金改定について、中小企業の経営者が確認すべきポイントと、政府による支援策をわかりやすくまとめました。

1. 最低賃金とは?

最低賃金とは、労働者に支払われるべき「最低の賃金」であり、都道府県ごとに定められています。最低賃金は時給で定められており、法律で定められた額を下回って支払うことは違法です。

2025年は全国加重平均が 1,121円(引き上げ率:6.3%) と、過去最大級の上昇となりました。
都道府県ごとの適用開始時期は異なるため、地域ごとの最新情報を必ず確認してください。

10月以降の東京の最低賃金は、1,226円(前年+63円)となります。

また、例年は全国一律で10月から変更でしたが、今年は発効日が違う都道県があることもご注意ください。

都道府県最低賃金(円/時)引き上げ額発効日(予定)
茨城県1,07469令和7年10月12日
栃木県1,06864令和7年10月1日
群馬県1,06378令和8年3月1日
埼玉県1,14163令和7年11月1日
千葉県1,14064令和7年10月3日
東京都1,22663令和7年10月3日
神奈川県1,22563令和7年10月4日
令和7年度地域別最低賃金全国一覧より抜粋
地域別最低賃金の全国一覧

2. 最低賃金に含まれる「賃金」範囲とは?

最低賃金の対象となるのは、「基本的な賃金」です。

たとえば、基本給や職務手当、役付手当の一部などが含まれます。
ただし、以下の手当は対象外です。

  • 時間外手当(残業代)、休日手当、深夜手当
  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
  • 臨時的な手当(結婚手当など)
  • ボーナスなど1か月を超える期間で支払われるもの

含めないように注意しましょう。


3. 月給制従業員のチェック方法

月給制の従業員も、時給に換算して最低賃金以上かどうか確認する必要があります。

月給(最低賃金の対象となる金額) ÷ 1か月の平均所定労働時間 ≥ 地域別最低賃金額

平均所定労働時間の求め方

(365日 - 年間休日数) × 1日の所定労働時間 ÷ 12ヶ月

例:年間休日120日、1日8時間 ⇒ 約163.3時間/月

例として、東京都で月給22万円の場合:

  • 通勤手当・家族手当などを除いた対象賃金:200,000円
  • 平均所定労働時間:約163.3時間

計算:

200,000 ÷ 163.3 ≒ 約1,224円

東京都の最低賃金は 1,226円(2025年10月以降)なので、最低賃金額を下回ることから、給与の見直しが必要です。


4. 今すぐ確認すべきステップ

  1. 賃金台帳の点検
    各従業員の基本給や手当を正確に把握。
  2. 時給換算式でチェック
    全従業員について、上記式を用いて最低賃金以上か確認。
  3. 該当者への対応
    必要があれば、基本給や手当の見直し・改定を速やかに行う。

5. 政府による支援策も活用を!

最低賃金の引き上げは、全国加重平均で 6.3%の大幅アップ
こうした中小・小規模事業者を支えるため、以下のような支援策が公表されています。

  • 価格転嫁対策:改正下請法(取適法)に基づく取引慣行の改善や、価格交渉促進月間の実施
  • 補助金・税制支援:持続化補助金などによる販路開拓支援、赤字企業も対象となる賃上げ促進税制(繰越控除)
  • 成長支援(2025年中小企業100億円企業支援、事業承継・M\&Aサポート)
  • 生産性向上支援の強化:ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金(一般型)の要件緩和・審査優遇、対象拡大や補助率引き上げへの対応

さらに、厚生労働省は 業務改善助成金の対象範囲拡大・事前提出の省略などを実施予定です。

最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策を公表します (METI/経済産業省)
中小企業庁は、過去最大となった今般の最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者を後押しするべく、これまでの取組に加え、新たな対応策も含めた支援策を公表します。

まとめ

  • 計算に使う手当を正しく区分すること
  • 時給換算で最低賃金を下回っていないか要チェック
  • 支援策を上手に活用して、財務負担を軽減しつつ、適正な給与水準を実現しましょう

改定に備えて早めの対応が必要です。不明点や具体的計算のご相談があれば、お気軽にお問い合わせください!