日商簿記2級は、就職・転職、実務の両方で評価が高い人気資格です。
一方で、最近の受験生からは、
- 「想像以上に難しい」
- 「過去問だけでは太刀打ちできない」
- 「3級の延長だと思っていたら痛い目にあった」
といった声が明らかに増えています。
そしてこれは受験初心者に限りません!実は、税理士事務所で5年働いていた私ですら、簿記2級に一度落ちました。
実務経験があっても、決算を担当していなかったため「体系的な会計の理解」が不足しており、簿記2級のレベルの高さを痛感しました。

この記事でわかること
- 最新の簿記2級の難易度(合格率ふくむ)
- 「昔より難しくなった」と言われる理由
- 税理士事務所勤務5年目でも落ちたリアルなつまずきポイント
- ネット試験(CBT)の“対策しづらさ”
- 難化した簿記2級に合格するための具体的な勉強法
日商簿記2級の難易度:合格率からざっくり把握する
まずは、合格率から全体の難しさを整理します。
- 統一試験(紙):20〜30%前後
- ネット試験(CBT):おおむね30%前後
回によっては15%台まで落ち込む“激ムズ回”もあり、安定して誰でも受かる試験ではありません。
| 合格率 | 難易度イメージ |
|---|---|
| 30%以上 | やや易しい(対策次第で狙える) |
| 20〜30% | 標準的(実力勝負) |
| 15〜20%未満 | 難化回(実務経験者でも落ちる) |
税理士事務所勤務5年目の私でも落ちた──簿記2級が難しい理由
簿記2級が難しいと言われる背景には、次の4つのポイントがあります。
① 出題範囲がとても広い(商業簿記+工業簿記)
実務で触ることの多い「入力・資料整理」レベルとは違い、簿記2級は決算整理の体系理解が必須です。
私は決算を担当していなかったため、
「この勘定科目はどう繋がっていくのか」
という視点が抜けており、最初の時点で圧倒されました。
② 工業簿記という“未知の世界”が追加される
税理士事務所では製造業の原価計算に触れる機会がほぼありません。
- 材料費・労務費・経費の集計
- 部門別原価計算
- 総合原価計算・標準原価計算
こうした概念は実務とかけ離れており、工業簿記は「苦手科目の筆頭」になりやすいです。
③ 思考型の問題が増え、“暗記では通用しない”
- 資料を読み取って構造を理解する問題
- 複数論点を組み合わせた総合問題
- 理由を理解していないと絶対に解けない問題
私は入力作業が中心の実務だったため、
「自分で整理して考える」という試験特有の思考に慣れておらず、初受験ではまったく歯が立ちませんでした。
④ ネット試験(CBT)が“対策を難しくしている”
CBTでは、
- 過去問が非公開
- 本番の形式が読めない
- 時間配分がつかみにくい
紙試験とは別物であり、形式慣れしていないと実力を発揮できません。
実務経験者ですら感じる“きつさ”とは?
私自身が落ちたときに感じたのは、次のようなポイントです。
- テキスト1周では理解できた気がしない
- 工業簿記がそもそもイメージできない
- 本番で「見たことのない問題形式」が出る
- 時間との戦いでケアレスミスが多発
特に、決算処理を体系的に理解していなかったことが大きな敗因でした。
難化した簿記2級に合格するための戦略
戦略①:工業簿記を“後回しにしない”
- まずは全体像を早めにつかむ
- 総合原価計算・標準原価計算など得点源を先に固める
工業簿記を避けると必ず詰みます。早期に手をつけるのが正解です。
戦略②:過去問だけでなく“予想問題・模試”を解く
CBT時代の簿記は、初見問題への耐性が重要です。
章末問題・予想問題・模試を組み合わせて、形式慣れを作りましょう。
戦略③:理解重視の教材を選ぶ
暗記型だと必ず限界が来ます。
「なぜこの処理をするのか?」を丁寧に説明してくれる教材・講義が必須です。
戦略④:ネット試験(CBT)を積極的に活用する
- 好きなタイミングで受験できる
- 合否がすぐわかる
- 短期集中で合格しやすい
仕上がってきた段階でCBTを選ぶと効率が良いです。
まとめ:簿記2級は確かに難しい。でも価値は圧倒的に大きい。
簿記2級が難しいと言われる理由は、
- 範囲が広い
- 工業簿記が未知の世界
- 思考型問題が増えている
- CBTで過去問が使えない
こうした要素が重なり、実務経験者ですら落ちる資格になっています。
しかしその分、
- 会計の基礎が本当に身に付く
- 就職・転職での評価が高い
- 中小企業の実務で即戦力になる
という大きなリターンがあります。
「難しさの正体」を理解して戦略的に学べば、簿記2級は決して手の届かない資格ではありません!
これから受験する方は、ぜひこの記事を参考に、自分に合った学習計画を立ててみてください。

