「短期前払費用の特例」とは、一定の条件を満たした「前払いした費用」を、その支払った年の経費として一括で落とせる制度です。
通常、前払いした費用って、実際にサービスを受ける期間に応じて毎年少しずつ経費にしていく(期間配分する)必要があるんですが、
この特例を使うと 「支払ったタイミングで一気に経費化」 できるんです。
うまく使えば、今年の利益を圧縮して節税できる! というわけです。
今回は、この特例について解説していきます。
No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合|国税庁
使える費用ってどんなもの?
たとえばこんなものが対象になります。
- 家賃
- 保険料
- リース料
- サーバー利用料
- サブスクのシステム利用料
など、「毎月払うのが普通だけど、まとめて先払いするタイプの費用」がメインです。
特例を使うための3つの条件
ここは超重要!特例を使うには、次の3つを満たす必要があります。
条件 | 内容 |
---|---|
支払日 | 実際にお金を払っていること 要は、未払計上は認められません。 |
契約内容 | 支払った費用の対象期間が1年以内であること(1年を超えない) 3年分を前払した上で1年分だけ経費、という処理は認められません。 |
取引の実態 | 継続的に同じ方法で経理処理していること(毎年適用していること) 前年は利益出てるから1年分前払、今年はあまり利益がないから都度払い、みたいな処理は認められない可能性があります。 |
適用される費用の範囲と注意
- 「役務の提供を受けるために支出した費用」に限定
→資産(モノ)の引き渡しを前提とするものは短期前払費用の特例を適用できない - 役務の提供開始時期が事業年度内でない場合、適用不可
→3月決算で、5月から開始されるサービスの前払は適用不可 - 等質・等量のサービスで継続的に受けているものでないとダメ
→税理士報酬、外注費、コンサル報酬などは、毎月内容が異なることから対象外 - 重要性の原則との兼ね合いも
→金額が大きすぎるものだったり、仕入のように収入と紐づくものは対象外
具体例:これなら使える!
OKなケース
- 12ヶ月分のオフィス家賃を、年度末にまとめて前払い
- 1年契約のクラウドシステム利用料を、契約時に一括払い
- システム保守料を翌年分1年分を前払い
- 保険料を1年分前払い
- リース料1年分前払い
→ これなら短期前払費用の特例を使って、その年の経費に一気に計上OK!
NGなケース
- 2年契約の保険料をまとめ払い
- 3年分のリース料を先払い
→ これは「1年以内」じゃないので、普通に期間配分しないといけません。
まとめ
短期前払費用の特例をうまく使えば、
今年の利益を抑えて節税できる強力なテクニック になります!
ただし、
- 1年以内の契約
- 実際に支払う
- 毎年継続
この3つのルールを守らないと逆にリスクになることも。
制度をきちんと理解して、うまく活用しましょう!
もし「ウチのケースは使えるの?」と気になる方は、ご相談ください!
短期前払費用の取扱いについて|国税庁