決算書の考え方の土台、企業会計原則を解説

企業会計原則とは?

社長が知っておきたい会計の考え方の土台

「会計のことはなんとなくわかるけど、細かいことまではわからない」
そう思っている企業の社長も少なくないと思います。

「会計がどんな考え方で作られているのか」この土台を少し知っておくことで、

  • 決算書の見え方が変わる
  • 税務調査や将来のトラブルを避けやすくなる

といったメリットがあります。

今回は、その土台となる企業会計原則について解説します。

そもそも「企業会計」とは何か?

企業会計とは簡単に言えば、会社の経営活動を数字で記録し、外部に伝えるための仕組みです。
具体的には、

  • 会社にいくら財産があるのか(財政状態)
  • どれだけ儲かっているのか(経営成績)

これを、決算書(財務諸表)という形で表します。

この決算書は、銀行、取引先、株主など、多くの利害関係者が目にする重要な資料です。

だからこそ、「誰が見ても、同じように判断できる数字」であることが求められます。

企業会計原則とは?

企業会計原則とは、企業会計を行ううえでの基本的な考え方やルールをまとめたものです。

法律ではありませんが、日本の会計実務は、この企業会計原則をベースに成り立っています。

その中でも「一般原則」は、すべての会計処理の前提となり最高規範ともいえる重要ルールです。

全部で7つあるので一つずつ見ていきましょう。

① 真実性の原則

一般原則一 本文
企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して

真実な報告を提供するものでなければならない。

企業会計は、会社の財政状態や経営成績について、
真実な報告を行わなければならないとされています。

この真実性の原則は、企業会計原則の中でも頂点に位置する原則です。

ここでいう「真実」とは、完璧な事実そのものではなく、
会計ルールに従って適正に作られていることを意味します。

財務諸表は、

  • 実際の取引
  • 会計上の慣習
  • 見積りや判断

これらを組み合わせて作られます。そのため、たどり着く答えはひとつではなく、
企業会計における真実は「絶対的真実」ではなく「相対的真実」と考えられています。


・利益をよく見せることが真実ではない
・ルールに沿って説明できることが重要

② 正規の簿記の原則

一般原則二 本文
企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、

正確な会計帳簿 を作成しなければならない。

本文の通り全ての取引は、正規の簿記の原則に従って、正確な帳簿に記録しなければなりません。正確な帳簿とは、

  • 取引が漏れなく記録されている(網羅性
  • 証拠書類で確認できる(検証可能性
  • 誰が見ても分かるよう整理されている(秩序性

この3つを満たしたものです。


・領収書や契約書は会社の「証拠」
・帳簿の正確さが、決算全体の信頼性を支える

③ 資本取引・損益取引区別の原則

一般原則三 本文
資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、

特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。

企業会計では、

  • 資本取引(出資など)
  • 損益取引(売上・経費など)

を明確に区別しなければなりません。
特に、資本剰余金と利益剰余金を混同してはいけないとされています。
利益とは、あくまで事業活動によって増えた分だけを指します。
維持拘束性のある資本剰余金分配可能性のある利益剰余金ですがこれらを混同してしまうと本来維持しなければいけなかったものまで配当金などで流出し侵食される危険性があります。

・お金が増えても、必ずしも儲けではない
・会社の実力を見るための重要な区別

④ 明瞭性の原則

一般原則四 本文
企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し

企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない

財務諸表は、利害関係者が判断を誤らないよう、分かりやすく表示されなければなりません。

そのために求められるのが、

  • 全体像が分かる(明瞭表示
  • 補足情報を示す(適正開示

です。重要な会計方針や後発事象などは会計に反映することができないことも多いため、
注記として開示します。


・決算書は「説明資料」
・補足説明が、信用につながる

⑤ 継続性の原則

一般原則五 本文
企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、
みだりにこれを変更してはならない。

一度決めた会計処理の方法は、正当な理由がない限り、毎期継続して使う必要があります。

毎年処理方法が変わると、

  • 利益の比較ができない
  • 意図的な利益操作が疑われる

といった問題が生じます。
一番身近なものとしては固定資産の減価償却方法(定額法,定率法etc..)などが該当します。


・会計は「続けてこそ意味がある」
・変更時は正当な理由が必要

⑥ 保守主義の原則

一般原則六 本文
企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、
これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。

将来、会社に不利な影響が出る可能性がある場合には慎重な判断に基づいた会計処理を行う、
という考え方です。慎重な判断に基づいた処理とは利益を控えめに計上するなどのような処理をいいます。

ただし、やりすぎると実態を歪めてしまうため、一般に公正妥当と認められる範囲内でのみ認められており、適度なバランスが必要です。


・楽観的すぎる決算は危険
・会社を守るための慎重さ

⑦ 単一性の原則

一般原則七 本文
株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の
財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、 信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。

目的に応じて、

  • 銀行向け
  • 株主向け
  • 税務向け

と形式を変えることは認められています。
ただし、元になる会計記録は一つでなければならないというのが単一性の原則です。

これを
実質一元・形式多元
と呼びます。


・資料ごとに数字が違うのは危険
・信頼は一貫した数字から生まれる

まとめ

企業会計原則は難しそうな響きではありますが、かみ砕いていけば難しい理論ではなく、
要約すれば正しく、分かりやすく、ブレない会計を行うための考え方です。
原則を守った会計は、会社の信用と将来を支え、結果的には企業と社長自身を守ることにも繋がります。この記事を読んで会計のルールを少しでも理解が深まれば幸いです。
より良い企業を目指すためにも適切な帳簿を作っていけるように心がけていきましょう。