個人で事業を始める際に必要な主な「届け出」とその「期限」について、わかりやすくまとめます。基本的には税務署への提出が中心です。

✅ 開業時に提出する主な書類と期限
個人が開業した際には、以下の届け出を提出します。
開業届は、所得税法上の義務ですが、提出をしないことによる罰則はありません。
なお、届け出を提出するしないにかかわらず、事業で収入を得ることになれば確定申告は必要になりますのでご注意ください。
書類名 | 提出先 | 提出期限 | 概要 |
---|---|---|---|
①個人事業の開業届出書(開業届) | 税務署 | 開業日から1か月以内 | 個人で事業を開始したことを税務署に知らせる書類。 |
②所得税の青色申告承認申請書 | 税務署 | 開業日から2か月以内 またはその年の3月15日までの早い方 | 青色申告(節税効果あり)をするために必要な申請。 |
③給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 給与支払いを開始した日から1か月以内 | 従業員(家族含む)に給与を支払う場合に必要。 |
④源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 税務署 | 特に期限なし(随時) | 給与や報酬の源泉税納付を毎月→半年にまとめられる。小規模事業者向け。 |
⑤事業開始等申告書 | 都道府県・市区町村 | 自治体により異なる(例:東京都は15日以内) | 住民税や事業税のための届け出。自治体によって必要書類・期限が異なるので要確認。 |
青色申告
青色申告の承認を受けている場合には「青色申告」、それ以外は「白色申告」になります。
なお、青色申告は、「不動産所得」「事業所得」「山林所得」がある方だけで、これらの所得がないと青色申告の承認申請することができません。
メリット
青色申告の承認を受けると、以下のような節税メリットが得られます。
メリット | 内容 |
---|---|
① 最大65万円の特別控除 | 正しい帳簿(複式簿記)をつけて申告すると、所得から最大65万円を控除できる。簡易帳簿でも10万円控除あり。 |
② 赤字を3年間繰り越せる | 開業初期などで赤字になった場合でも、その損失を3年先まで繰り越して、利益と相殺できる。 |
③ 家族への給与を全額経費にできる | 「青色事業専従者給与」の届出をしていれば家族への給与を全額必要経費にできる。白色だと上限あり。 |
④ 減価償却の特例がある | 少額減価償却資産の特例(1個当たり30万円未満・年300万円まで)の経費化が可能など、有利な計算が使える。 |
⑤ 貸倒引当金の計上が可能 | 取引先の未回収リスクに備えて、一定の金額を経費にできる。これは白色申告では不可。 |
💡こんな人におすすめ!
- 節税をしっかりしたい
- 売上が大きくなってきた
- 赤字になりそう or なっている
- 家族に給与を払いたい
- 経費が増えてきた
青色申告を選択した場合の義務
青色申告にすると、以下のような義務も発生しますので注意!
義務 | 内容 |
---|---|
1. 帳簿の作成と保存 | 「複式簿記」での記帳が必要(55・65万円控除の場合) →仕訳帳・総勘定元帳などを作成し、日々の取引を記録する。 |
2. 会計帳簿や領収書の保存 | 会計帳簿:7年間保存 領収書・請求書などの書類:原則5年間保存 |
3. 青色申告決算書の作成・提出 | 確定申告時に「青色申告決算書」を提出。 55万円以上の青色申告特別控除を受ける場合には、損益計算書だけでなく貸借対照表も作成する必要がある。 |
4. 期限内申告義務 | 期限内に申告しないと、青色申告特別控除は10万円になってしまう。 なお、2年連続期限後になると承認を取り消されて、その後2期は白色申告になる。 |
まとめ
開業届は各種補助金で添付書類などに指定されていることも多いことから、提出しておくことをお勧めします。また、青色申告についても多くのメリットがありますので、可能であれば是非申請したいですね。
それぞれの期限に忘れずに提出するようにし、起業を盛り上げていきましょう!